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桑の葉茶で痩せる?血圧にいい?桑の葉の効果・効能、メリット・デメリット&美味しい飲み方をご紹介

桑の葉とは


桑は落葉樹の高木で、その葉を収穫するヤマグワ(養蚕用)と西洋桑(果樹の収穫用)に大別されます。北半球で主に生息し、品種・変種は世界で1000種類以上もあると言われ、挿し木でも育つほどの繁殖力があります。木の幹は大きいものでは50㎝を超え、果樹好きの方にとってはマルベリーの名称に馴染みがある方もいるでしょう。

日本国内では、養蚕業が衰退したことによって餌の需要は減り、桑の葉の生産量は激減していきました。

 

桑の葉の効能・効果

中国では2世紀より、桑の葉を煎じて「神仙茶」の名で健康維持のために飲用していたといわれています。また古書『本草綱目(ほんぞうこうもく 1596年刊)』では薬用として桑が紹介されています。

日本でも江戸時代の書物『大和本草』『本朝食鑑』の中で”薬用植物として利用された”といった内容が記されており、かつてより「捨てるところのない生薬」として知られていました。

桑の葉に含まれる成分は、私たち現代人にも多くの効能や効果をもたらしてくれそうです。

桑の葉の効能・効果(1)ダイエット

桑茶には「1-デオキシノジリマイシン(DNJ)」という成分が含まれています。この成分には、下記の北大学大学院の研究によると、

DNJなどのアザ糖は,α-グルコシダーゼの活性を競争的に阻害することで糖の吸収を遅延させる(図1).※1
※1北大学大学院農学研究科機能分子解析学分野. 食後高血糖改善成分を含む新規食材の活用桑葉・微生物によるDNJの生産と機能性・安全性の評価, https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/58/1/58_580103/_article/-char/ja/   2020. Accessed 5 12 2022.
と、糖の吸収・血糖値の上昇を抑制する効果があるとされています。炭水化物は小腸で酵素分解し体内に吸収されますが、この分解を阻害する効果によって、糖の体内摂取を抑える効果が期待できます。

近年は糖質をコントロールするダイエットに注目が集まっていますが、DNJの働きにも期待が持てますね。

 

桑の葉の効能・効果(2)むくみや便秘

桑の葉にはカリウムと食物繊維が豊富に含まれています。バナナの5倍もの量を含むカリウム(ミネラル成分)は、体内細胞の浸透圧を調整し、ナトリウムを排出する作用があります。また、体内の塩分量を整えつつ、不要な水分をコントロールする機能にも期待が持てます。
また桑の葉の食物繊維含有量は、ごぼう含有量の8倍・ほうれん草の72倍ともいわれています。食物繊維には、整腸作用があることをご存知の方も多いでしょう。小腸で吸収されず大腸まで届いて便通を促す効果があり、多くの日本人が不足していると言われる成分です。

 

桑の葉の効能・効果(3)血糖値の抑制

桑葉に含まれる「1-デオキシノジリマイシン(DNJ)」には、血糖値の抑制に効果をもたらすことが、前述の北大学大学院の研究で発表されています
”たとえば,筆者らが行ったヒト試験において,食前に桑葉の抽出物(DNJを10 mg程度含む)を摂取することにより,食後血糖値の上昇は確かに有意に抑制される.※1”
※1北大学大学院農学研究科機能分子解析学分野. 食後高血糖改善成分を含む新規食材の活用桑葉・微生物によるDNJの生産と機能性・安全性の評価,https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/58/1/58_580103/_article/-char/ja/   2020. Accessed 5 12 2022.
こちらの研究発表では「糖尿病の予防や治療への活用」についても言及されていますが、「有効量を摂取するためには多くの摂取が必要であることが課題」とされています。薬のような即効性を期待するのではなく、あくまでも桑の葉茶は「健康的な生活をサポートするお茶」としてお楽しみください。

 

桑の葉の効能・効果(4)高血圧が気になる方

生活習慣病の目安となるものの1つに高血圧がありますが、高血圧は遺伝だけでなく環境的要因によることも多く、ストレスや運動不足、肥満に注意が必要です。
桑の葉はアミノ酸の一種GABAを含んでいます。GABAは、中枢神経で働く神経伝達物質で、人間の体のあらゆる部分で発見されていることから、全身部位で必要不可欠な成分だといわれています。GABAには、リラックス効果や、血管の収縮を和らげる作用から血圧を下げる効果があるとされ、ホッと一息つきたいとき、ストレスを強く感じている人にとって、日頃から意識して摂りたい成分の1つです。

 

桑の葉茶の成分とメリット

桑の葉には栄養成分がたっぷり!

桑の葉には、タンパク質をはじめ鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛やビタミンB1、B2など、栄養成分を豊富に含んでいます。
貧血の人が不足しがちな鉄分や、新陳代謝を助け免疫反応を調整する働きのある亜鉛が含まれているなど、普段の食生活だけでは摂取しづらい成分に魅力を感じる女性は多いでしょう。

大腸に作用して善玉菌を増やす食物繊維も多く含んでおり、便秘に悩む方の腸内環境改善に欠かせない栄養素を桑の葉から取り入れることができます。
また、活性酸素の抑制や体内の抗酸化に機能し、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きがあるといわれるイソフラボンも、桑の葉から摂取できます。
なにより他の自然植物では見られない桑の葉特有の含有成分DNJは、血糖値抑制機能があるといわれている点で注目すべきポイントです。

 

ノンカフェインだから妊婦さんもお子さんも安心!

茶葉と聞いて「カフェインが入っているのでは?」と気になる方もいるでしょう。
桑の葉には多くの成分を含んでいますが、実はノンカフェイン。ですので、食事や飲料に気を配る妊婦さんや授乳中ママ、お子さんも安心して召し上がれます。
ただしこれは桑の葉100%茶の場合に限ります。
茶葉のバリエーションやアレンジによっては、ハーブや緑茶、ケール(青汁)とブレンドしたためにカフェインを含んでいる場合もあります。飲用する前に、ブレンド茶の成分とあわせて確認するようにしましょう。

 

桑の葉茶の選び方

桑の葉茶は、「できれば体にイイものを」と、食事や飲み物にこだわりたい方へオススメのお茶です。毎日の生活の中で取り入れられる健康作りの1アイテムとして、桑の葉茶を長く愛飲したいと思った方もいるでしょうが、ひとことで「桑の葉茶」といっても、その種類や作り方はさまざま。
そこで、桑の葉茶の特徴や選び方をポイントごとに見ていきましょう。

 

桑の葉茶は、他の茶葉と比べてもクセが少なく飲みやすいお茶です。あと味はスッキリさっぱりとしていて、香ばしい風味があります。健康に良いといわれる青汁や緑茶のような「渋い、苦い」といった味ではありませんので、家族みんなで桑の葉茶を美味しく召し上がれるでしょう。

 

桑の葉茶の淹れ方(水出し・煮出し等)で選ぶ

桑の葉茶は、煮出し・水出しのどちらでも飲める種類もあります。飲むまでの時間や量によって、また生活シーンに合わせて淹れ方を変えてみるのもオススメ。
また茶葉を大袋に詰めたタイプのものと、ティーパックで小分けにしたものがあります。コスト面では茶葉タイプのほうがやや安上がりのケースが多いのですが、1人分だけ、または家事の合間や仕事中など手軽に淹れたい時には、ティーパックタイプがオススメです。

水出し:
水を入れたポットの中に茶葉を浮かせて、お茶成分を抽出します。お湯を沸かす手間がなく、とても楽にお茶を楽しめるのがメリットです。暑い時期には水筒に入れて水分補給にも。水出しに対応した桑の葉茶を選んでご購入くださいね。

煮出し:
やかんで4〜5分ほどかけてじっくりと煮出すことで桑の葉茶に含まれるアミノ酸成分が抽出されます。家族みんなで飲むときや作り置きには煮出しがピッタリです。

急須で淹れる:
茶葉を急須に入れ、日本茶と同じように飲む飲み方です。お食事の際の飲み方としてオススメ。二煎でおおよその成分と味が出切ります。

 

品質

好みやバリエーションによってブレンドされた桑の葉茶もありますが、桑の葉の良さを存分に取り入れたいなら、やはり「桑の葉100%茶葉」がオススメです。

さらに、良質な桑の葉茶を見極めるポイントは「国産」「製造工程」「衛生管理」。収穫した桑の葉がお茶になるまでには、洗浄、蒸し、乾燥の工程があります。これらの工程によって桑の葉茶の品質や味わいが変わってきますので、信頼のおける茶葉製造元かどうかを確認することが大切です。

 

「機能性表示食品」で選ぶ

「機能性表示食品」とは、”事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品※2”のこと。
製造する会社が、含まれる成分と効果に対して根拠を示し、またその裏付けとして国に届け出をしている食品だということです。
健康に良い・効果があると謳われている商品もたくさんありますが、その成分と効果がきちんと「機能性表示」されているかどうかが、桑の葉茶を選ぶ際の見極めとして大いに有効です
※2“「機能性表示食品」って何?.” 消費者庁, https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf. Accessed 8 December 2022.

 

桑の葉は飲み過ぎに注意?副作用やデメリットについて

体に良い成分がふんだんに含まれている桑の葉茶は、どのくらい飲めばいいのか?といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
「健康に良いならガブガブ飲みたい!」という方もいるでしょうが、ここで、桑の葉茶の飲み方と注意点(デメリットや副作用)についてご紹介します。

 

桑の葉茶は飲みすぎると下痢や肝臓に悪い?

桑の葉茶を飲み始めて「おなかが緩くなりがち」「トイレに行く回数が増えた」という方がいます。この理由としては、

・食物繊維が豊富に含まれた桑の葉茶を飲み始めた
・体内の不要な水分を排出する効果が現れた

ことによるものと考えられます。まず、便秘ぎみだった人は、食物繊維を摂取して腸内環境が整うとトイレに行く回数が増えがちです。
桑の葉茶を飲んでリラックスし、緊張がほぐれ、血流が良くなると代謝が良くなって、身体機能も正常に働きやすくなります。またカリウムの作用によって、体内の余分な塩分や水分を排出しやすくなり、トイレの回数が増えることもあるでしょう。

また体内のアルコールやアンモニアを分解・解毒するといった、肝臓機能を補助するためにはビタミン類が欠かせません。桑の葉にはビタミン類の中でもB1が豊富に含まれているので、お酒が好きな方は、飲んだ日の翌朝に目覚めの水分補給として桑の葉茶をオススメします。
ただし肝機能に障害や疾患がある方は、鉄分の過剰摂取により症状を悪化させてしまう恐れがあります。桑の葉茶は、ビタミン類と同時に鉄成分も含んでいますので注意が必要です。同じく投薬中の方、カリウム摂取制限のある方、飲んで調子が悪くなった方は医師に相談しましょう。

 

桑の葉の美味しい飲み方

お出かけ先には、作っておいた桑の葉茶をタンブラーや水筒に入れて。
職場ではティーパックタイプの茶葉をマグカップで手軽に。
食事のお供や水分補給など、いつも飲んでいる水やジュース、コーヒーなどを桑の葉茶に置き換えてみましょう。ノンカフェインなので、就寝前に飲んでも睡眠を妨げません。
こんなふうに、さまざまな楽しみ方ができる桑の葉茶。どのようなことに気をつければもっと美味しく飲めるのか。美味しい桑の葉茶の作り方と飲み方をご紹介します。

 

桑の葉の作り方

桑の葉茶を作る時には、茶の元となる水にもこだわりたいですね。桑の葉茶には軟水が合うようですが、わざわざ購入して準備する必要はありません。水道水をしっかり沸騰させて水中のカルキ抜きをすれば十分です。

やかんで煮出して桑の葉茶を作る際は、茶葉を入れる前にカルキ抜きができます。水出しの場合は、一度沸騰させた湯冷ましを使うと、より美味しい桑の葉茶が作れます。

 

水出し

水を入れたポットの中に、茶葉が入っているティーパックを浮かせて、お茶成分を抽出します。お湯を沸かす手間がかからないので、忙しいママも家事の合間で手軽に作れます。

 

煮出し

やかんに湯を沸かし、沸騰したところで茶葉を入れて弱火にします。4〜5分ほどかけてじっくりと煮出しましょう。煮出したら茶葉を取り出して保管し、その日のうちに飲みきってください。煮出した桑の葉茶は、冷蔵庫で冷やしても美味しく召し上がれます。

 

急須で淹れる

急須と湯呑みはお湯を注いで温めておきましょう。中のお湯を捨て、茶葉を急須に入れます。茶葉は1人分で小さじ1杯(2〜3g)程度が適量です。
そして、80℃ほどに沸いたお湯を、茶葉1人分に対して200mlを目安に急須へ注ぎます。フタをして3〜5分ほど蒸らしましょう。

 

桑の葉茶を飲む最適なタイミング

家族だんらんで食事する時、また疲労物質がたまりやすくなる運動時や、おやつのお供など、桑の葉茶はどんなシーンにも合います。食事やおやつの味を邪魔せず、口をすっきりさせてくれるでしょう。

体内塩分量を調整する効果があるといわれるカリウムを含んでおり、利尿作用が高まる可能性がありますので、たくさんの量を就寝前に飲むと夜中にトイレへ行きたくなってしまうかもしれません。就寝前は、飲む量をコップ1杯程度にとどめておくようにしましょう。

 

 

桑の葉茶はこんな人にもオススメ!

桑の葉茶を飲んでみようかな…と興味をそそられた方のために、「こんな人にオススメしたい」具体的な例をご紹介します。

桑の葉茶がオススメのケース:妊娠中・授乳中の方

何を食べても飲んでも太ってしまう、手足が浮腫んでパンパン、お茶を飲みたいけれどカフェインが入っているから控えている…
妊娠中や授乳中の方の中には、このような悩みを抱えている人も多いでしょう。ママの体調変化が著しいうえに、妊婦さんや母乳ママの栄養状態はお子さんの成長発育に直結します。

GABAやカリウム、食物繊維やビタミン類を多く含んでいて、なおかつカフェインフリーの桑の葉茶は、ストレスを和らげながら、鉄不足や便秘といった妊婦さん特有のお悩み解消をサポートするお茶として適しています。桑の葉茶は妊娠中・授乳中のママの水分&栄養素補給にぴったりです。

 

桑の葉茶がオススメのケース:成長期のお子さんに

大人と比べて基礎代謝が高く、部活動や外遊びなど汗をかくことが多い子どもは水分補給がとても大事。こまめに水分を補給したい時、のどが渇いた時には、パパママと一緒に桑の葉茶を飲みましょう。
桑の葉茶は、野菜嫌いのお子さんや、元気に遊んだり運動する小中学生にとって必要なビタミン類やカルシウムを豊富に含んでいます。喉を潤しながら、普段の食事だけでは十分に摂取しきれない栄養素を補給することができます。

 

桑の葉茶がオススメのケース:生理・貧血気味の方

体内血液が減ってしまう月経時のサポートとして、鉄を多く含む桑の葉茶はオススメです。

貧血に悩んでいる方は、日頃から飲むお茶を桑の葉茶にすれば、手軽に不足しがちな鉄分を取り入れられます。また、桑の葉は食物繊維を多く含んでいるので、生理周期によって便秘しがちな女性にとっても適したお茶だといえるでしょう。

 

桑の葉茶がオススメのケース:血圧が高い方

血圧が高い方は、毎日の食事制限や運動など、気を配らなければならないことがたくさんあります。高血圧の原因としては、肥満やストレス、飲酒、喫煙などの生活習慣が大きく関わるといわれますが、制限が多い毎日ではさらにストレスが溜まり、暴飲暴食や嗜好を強めてしまいかねません。

桑の葉に含まれるGABAには、ストレス軽減・血管収縮をしなやかにするといった働きがあるとされています。肝機能維持に欠かせないビタミン類の含有も多い桑の葉茶は、血圧に悩む方のサポート茶としてオススメです。

 

桑の葉茶Q&A

桑の葉茶は白髪に効きますか?

加齢とともに白髪が目立ってきた…と気になる方もいるでしょう。白髪になる原因はさまざまですが、環境要因として体内タンパク質とミネラル不足、頭皮血流の不足が挙げられます。

タンパク質や鉄分や亜鉛といったミネラル成分を取り入れ、充分な栄養が頭皮にいきわたるよう血流を促すことは、元気な髪を維持するために欠かせません。「桑の葉茶を飲めば白髪がなくなる」とは言いきれませんが、健康な体づくりを意識すれば白髪の対策にもつながっていくでしょう。

桑の葉茶は1日何杯飲めばいいですか?

1日の摂取量は特に制限がなく、飲みたいときに飲んでいただいて問題はないでしょう。桑の葉茶に含まれる栄養素の中で、過剰に摂取して健康を害するとされるものはありません。

ただ、桑の葉茶はあくまで健康茶ですので、健康維持のためにたくさん飲むという使い方ではなく、適量を毎日続けて飲むことをオススメします。

また、基礎疾患(特に肝機能・腎機能)をお持ちの方や治療投薬中の方は、成分摂取に制限があるケースも考えられます。専門医にご相談の上、飲用をお願いします。

桑の葉茶は、糖尿病や癌等病気の薬と併用して飲めますか?

桑の葉茶にはたくさんの栄養素が含まれていますが、あくまでも日常的に楽しむお茶であり、発症した病気や疾患に対して直接的に効果をもたらすものではありません。

お体の状態は人それぞれで異なります。治療投薬中の方は特に慎重にご判断いただき、専門医の指導のもと正しくお薬を服用してください。

お食事のおともに、ぜひ桑の葉茶を。


麦茶や緑茶、コーヒーなど、いつも飲んでいる飲み物から桑の葉茶へ変えてみませんか。
桑の葉茶は、ノンカフェインで飲みやすく、栄養成分も多く含んでいます。家族みんなの健康をアシストしてくれるオススメの健康茶です。

 

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